概要
『
トゥルー・ラブストーリー』シリーズ、『
キミキス』等の
作品で知られる
杉山イチロウ氏がプロデューサーを務め、
キャラクターデザインはディンゴの
ヤマザキマサハル氏が担当している恋愛シミュレーション。
3Dの美少女相手にカメラ撮影を楽しみつつ、2ヶ月後の学園祭で意中の女の子に告白して、
成功させることがゲームの目的となっている。

TLSシリーズの血を受け継ぐ王道恋愛シミュレーション
本作は「写真撮影」という独自の要素(先に
ソニコミが発売されてしまったので新鮮味は薄れたが)
はあるものの、基本的には超王道な学園恋愛シミュレーションである。
その王道な作りにはPS、PS2時代の恋愛シミュレーションを彷彿させ、
良く言えば前述した通り王道であり、悪く言えば古臭いのである。
例えば女の子とのランダムエンカウントや好感度の種類(スキやナカヨシ)でイベントが変化する、
そして、女の子の好感度を妹に聞きに行くなんてことは
『トゥルー・ラブストーリー』シリーズ時代からやっていることであり、
杉山イチロウ氏の作品を一つでもプレイしたことがあるならば
その変わり映えのしないゲーム性に懐かしさと古臭さを感じずにはいられないだろう。

しかし、古いことは悪いことなのだろうか。
否、必ずしも古さは作品の質には直結しない。
それはこの作品が証明してくれている。
確かに女の子とエンカウントしなかった、
バイオリズムマッチング会話、写真撮影に失敗したらロードして
セーブポイントからやり直すなんていうゲームデザインは今時古いし、不親切だ。

それでも最初はそっけなかった女の子と仲良くなっていく過程の描写や
派手さは無いし、ベタではあるが、ほのぼのとしたイベントの数々はとても甘酸っぱく、
非常に日常的でリアルさが感じられる(一部リアリティの欠片もないが)。
PCゲームやライトノベル、漫画辺りで非日常的な学園モノは沢山ありふれているが、
本作のような日常的な学園モノは最近では希少価値があると思う。

流行も取り入れた独自のゲームシステム
基本的には古臭さが漂うゲームなのだが、
写真撮影やバイオリズムマッチング会話、うさパワーによるエンカウント等
新しく独自なシステムも搭載している。
うさパワーはそのあんまりなネーミングセンスに初めは脱力してしまうが、
好きな場所で女の子と自由にエンカウント出来る、
つまり普段会いにくい場所で写真撮影が可能になり、
二つのシステムがリンクして、意味を持っているのが良い。
また、「スキ」や「ナカヨシ」の好感度を調整出来る等の
嬉しいボーナス要素もあるのだが、
面倒なルーレットが必要だったり、
うさパワーが4つ溜まらないと使えなかったりと
ユーザビリティ的には微妙な部分は多い。
バイオリズムマッチング会話もただの選択肢に頼らない
ユニークなアイディアだとは思うのだが、
これのチュートリアルが無い為、初めは訳がわからず会話が盛り上がらなかったり、
いくら女心は秋の空と言っても数秒単位で女の子の好きな話題が変動するのは訳が分からない。
更に同じ話題が連続している時に先にバイオリズムラインの下にある話題にヒットして
好感度が下がるのも何だか納得がいかず、面倒。
また、話題アイコンの色合いが全体的に似通っているので、
暗い所でプレイしたり、集中していないと普通に間違えて選択してしまうことも多く、
ストレスの一因にはなった。

フォトセッションの中にはリズムフォトセッションと呼ばれるものがあり、
これは女の子が歌って踊っている間に画面に
表示されるタイミングに合わせて十字キーとRボタンを押して撮影するもの。
所謂音ゲーであり、かの
Project Divaに影響を受けているとしか思えない。
PERFECTのタイミングが独特ではあるが、
十字キーとRボタンしか使わないので全体的な難易度は低め。
歌って踊る女の子に集中しながら気持ちよくシャッターを切るという
雰囲気重視のミニゲームと考えた方が良いだろう。

豊富なやり込み要素
本作は一般的なギャルゲー(特にADVの部類)とは違い、
恐ろしくやり込み要素が多い。
女の子と会話する度、ゲームをクリアする度に選択出来る話題や性格が増えたり、
撮影した写真の評価により上下するポイントを溜めたり、
学園内に隠された
アホ毛あっぴ〜と呼ばれるアヒルの撮影によって
主人公は成長していき、プレイヤーはゲーム進行が楽になったり、
よりゲームが面白くなるご褒美を貰うことが出来る。
これらの要素によってプレイヤーは周回プレイのモチベーションを
保つことが出来るのは良いことだと思う。

軽いネタバレになってしまうが、ご褒美にはパイタッチ出来るようになる、
危ない水着(あまり危なくなくてわりと健全なのも杉山イチロウ氏らしいというか)
が着れるようになる等のお色気要素があり、
写真部の変態ぶりもそうだが、
こういったバカゲー的なお色気要素は
ドリームクラブの影響も強く感じられる。

また、これもネタバレになってしまうのだが、あえて書いておきたい。
本作には隠しキャラが何人か存在し、
その中の一人は
沢城みゆきさんが演じているので、
みゆきち好きにも本作はお勧めしたいところである。
最近演じるようになった
峰不二子からは想像も付かない性格のヒロインを演じているので、
ファンなら一見の価値はあるだろう。
もっとも世間の一般的な彼女のイメージは私は詳しくはないのだが。
ちなみにモブキャラにもエンディングとまで言わないが、
エピローグが用意されているので、
非常にボリュームたっぷりで、サービス精神が素晴らしい作品である。

ルートを二種類用意したのは凄い
メインヒロインには以下の二種類のストーリーが用意されている。
(1)
ストーリーL(Love)⇒女の子の心情や内面を重視した純愛ストーリーが展開
(2)
ストーリーH(Happy)⇒明るく、楽しく、時にはエッチなストーリーが展開
片方のストーリーだけだとボリュームが少ないということは決して無く、
丁度良い塩梅で、ヒロイン数ややり込み要素も考えるとむしろボリュームがあり過ぎな位だ。
DLC全盛のこの時代で片方のルートをバラ売りしてもおかしくないのに、
これは非常に好ましいゲームの作りをしていると言えよう。

ただ、全体的にどちらのルートも大筋は変わらない上に、
ストーリーHのシナリオの方が出来が良いヒロインが多い気がする。
その為、ルート分けするよりはシナリオ一本に
注力するのもありだったのではと思わなくも無かったりする。
また、隠しヒロインにはルートが一種類しか存在しないのは悲しい。
隠しヒロインにはメインヒロインと同等の魅力に溢れているし、
シナリオ自体の出来も決して劣るものではないだけに贅沢な願いかもしれないが、
出来れば隠しヒロインにも二種類のルートが欲しかった。

写真撮影は評価基準が曖昧
本作のタイトルには「フォト」と付くぐらいだし、
写真撮影はゲームの重要な部分と言えるのは間違いは無いのだが、
このゲームの写真撮影の評価基準は非常に曖昧ではっきりしないのが難点。
攻略本によると以下の4つの要素を意識するのが高得点のコツらしい。
(1)服装
(2)表情
(3)ポーズ
(4)撮影距離
(1)〜(3)は恋愛レベルが低い内は意識した所で、
女の子の警戒心が強いので、高得点を狙うのは難しい。
(4)に関してはこれが本当に納得がいかない。
被写体に近付きすぎるとペナルティが掛かるらしいのだが、
何回も検証してみたが、思いっ切り近付いてアップで撮影した方が高評価になりやすい
(恋愛レベルが低い内はこうでもしないと400〜600以上のポイントが貰えない)。
基本的に満点評価である1000はイベント時でないと撮影するのが難しく、
女の子と仲良くなっても800〜900が平均のポイントになる。
それ以外のシチュエーションではどんなに良いショットが獲れたと感じても
普通に600以下だったりするのでやはり納得がいかない部分も多い。
そんなわけで単純に高評価を得るのが難しいゲームなので、
早くご褒美を解禁したい場合は高評価が簡単に貰えるイベントの前でセーブしておいて
写真を撮ったらロードしてまた撮り直すという作業で効率化を図ることも出来る
(セーブデータとシステムデータは別の為、ポイントは蓄積される)。
本来であればこのような作業はしたくないところなのだが、
Beautiful評価で最後のご褒美を貰うには300000という
気の遠くなるようなポイントが必要なので、
作業をやらずに自然に溜めようとすると
恐ろしく時間が掛かってしまうのである。
おまけにEroticの最高ご褒美値も125000と決して少なくないので、
この辺りのポイント調整は厳しすぎると思う。
ゲームをプレイしていけば自然に溜まる位の
塩梅に出来ればして欲しかったところである。

テンポの悪さがネックか
本作は前述した通り周回プレイが前提となっているのだが、
その際に最大のネックになるのが全体的にシステム周りが重いということ。
特に写真を保存する度に入る写真データのセーブ時間が長く、
ゲームデータをセーブする際にも写真データとシステムデータのセーブが入る。
更にはバイオリズムマッチング会話等の前にもちょくちょくロードが入ったりするので、
致命的とまでは言わないものの繰り返しプレイ前提である本作の中で、
ゲームテンポの悪さに少しげんなりすることがある。
また、うさパワーを貰う為には妹と毎晩会う必要があるのだが、
これを毎日やらなくてはならないというのは非常に面倒なのが困りものである。

現代的要素を取り入れつつも古典的且つ愚直に王道を貫いた
学園恋愛シミュレーションに仕上がっており、意外にも熱中度はすこぶる高い。
キャラや声優に魅力が感じられ、前述したテンポの悪さも許容することが出来て、
学園モノが好きであればお勧めするに値する良作。
また、ヒロイン達が非常に魅力的で捨てキャラ無しなので、ドリームクラブ同様、
同じヒロインで是非続編をやってみたいと感じさせてくれる稀有な作品でもある。

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